2026年3月10日

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。
春になるとくしゃみや鼻水に悩まされる人は多いですが、
実はイヌやネコも花粉に反応するアレルギーを起こすことがあります。
ただし、人の花粉症と大きく違う点があります。
人では鼻水や目のかゆみが中心ですが、
イヌやネコでは主に皮膚のかゆみとして現れます。
・顔をしきりにこする
・足先や体をなめ続ける
・耳が赤くなり、外耳炎を繰り返す
・毛が抜ける、皮膚が赤くなる
こうした症状が、毎年決まった季節に悪化する場合、
花粉が関係している可能性があります。
犬と猫で症状は少し違う⁉
イヌでは「犬アトピー性皮膚炎」という体質が関係し、
花粉は春や秋に症状を悪化させる原因になります。
ネコでは、頭や首のかき傷、左右対称の脱毛、細かいブツブツなど、
少し独特な皮膚トラブルが見られます。
ネコは皮膚症状に加えて、喘息のような呼吸器症状が出ることもあります。
どうやって診断するの?
「この検査をすれば一発で分かる」という方法はありません。
まずはノミやダニ、細菌・カビの感染、食物アレルギーなど
他の原因を一つずつ除外していきます。
そのうえで、
「毎年春になるとかゆくなる」
「秋だけ耳のトラブルが増える」
といった季節性がはっきりしていれば、
環境アレルギー(花粉症)が疑われます。
アレルギー検査(IgEなどの血液検査)は、診断の決め手ではなく、
治療や環境対策の参考として使われます。
もしかして…と思ったら、
一度アレルギー検査をうけてみてはいかがでしょうか?
治療の考え方
花粉症は「一生つき合う体質」のことが多いため、
完治よりも上手にコントロールすることが目標です。
症状が強い時期には、かゆみを抑える飲み薬や注射を使います。
最近は副作用が少なく、かゆみをピンポイントで抑えられるお薬も増えています。
また、原因の花粉がはっきりしている場合は、
体質改善を目指す免疫療法という選択肢もあります。
おうちでできるケアも大切
アトピー体質の子は皮膚のバリアが弱く、
花粉が入り込みやすくなっています。
・保湿効果のあるシャンプーやスキンケア
・散歩後に足先や体を拭く:
この際に少し毛を湿らせてからブラッシングし、家の中に持ち込ませないことが大切です。
・洋服を着せて花粉の付着を減らす
・空気清浄機やこまめな掃除
など、人の花粉症対策と似た工夫がとても効果的です。
また、花粉のピークはお昼頃と夕方です。
お散歩は「早朝」や「日没・夜」を選ぶのがおすすめです。
特に、「雨の翌日」や「風の強い日」は要注意です!
最後に
イヌやネコの花粉症は、くしゃみではなく「かゆみの病気」です。
「毎年同じ季節にかゆがるな」と感じたら、
早めに動物病院で相談してください。
お薬、スキンケア、生活環境の工夫を組み合わせることで、
夜ぐっすり眠れて、快適に過ごせる状態を目指すことができます。
早めの対策で、大切な家族のQOL(生活の質)を一緒に守っていきましょう!
