犬の乳腺腫瘍の現状を解説|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

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犬の乳腺腫瘍の現状を解説

犬の乳腺腫瘍の現状を解説|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

2026年6月19日

犬の乳腺腫瘍の現状を解説

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院  院長 獣医師の朝岡紀行です。

犬猫の一次診療とともに、獣医療の可能性を広げるため、現在は馬の臨床研究にも携わっています。


イヌの乳腺腫瘍は、動物病院で比較的よく見つかる腫瘍のひとつです。
1つだけできることもあれば、複数の乳腺に同時に見つかることもあります。
良性のものから悪性のものまでさまざまで、
進み具合によって治療法や見通しが大きく変わるため、
早めに見つけて適切に対応することが大切です。

最近は研究が進み、乳腺腫瘍がどのようにでき、進んでいくのかが
少しずつ分かってきました。
その中で、新しい治療の候補として
mTOR阻害剤にも注目が集まっています。
今回は、イヌの乳腺腫瘍の現状と、
この治療法に期待されていることを分かりやすく紹介します。

乳腺腫瘍はなぜ起こるの?

イヌの乳腺腫瘍は、
避妊手術をしていないメス犬や、
年齢を重ねた犬に多くみられます。
発生には女性ホルモンが関係していると考えられており、
初めての発情の前に避妊手術を受けると、
乳腺腫瘍のリスクを大きく下げられることが知られています。

たとえば、初回発情前に避妊手術をした場合の
乳腺腫瘍の発生率は0.5%ほどとされる一方、
2回目の発情後に避妊手術をした場合は
約26%まで高くなると報告されています。

また、乳腺腫瘍はメス犬にできる腫瘍の中でも比較的多く、
全体の約40~50%を占めるとされています。
そのうち約半数は悪性と報告されています。

乳腺腫瘍には良性と悪性があります。
悪性の場合は、周囲の組織に広がったり、
別の場所に転移したりすることが問題になります。
中でも炎症性乳がんは進行が早く、手術の負担も大きいため、
特に注意が必要な乳腺がんです。

今後の経過に関わるポイントとしては、
✔しこりの大きさ、
✔がんの性質の強さ、
✔リンパ管や血管への広がり、
✔リンパ節への転移の有無
などがあります。
特に、しこりが大きい場合や悪性度が高い場合は、
転移しやすく、生存期間にも影響すると考えられています。

このように、乳腺腫瘍は
単に良性か悪性かだけではなく、
いくつかの要素をあわせて判断することが大切です。
それによって、飼い主さんと相談しながら治療方針を決めます。

新しい治療として注目される mTOR 阻害剤

近年は、がんの再発や転移、治療の効きにくさに関わる可能性がある
がん幹細胞」に注目が集まっています。
がん幹細胞とは、
自分と同じ性質をもつ細胞を増やしながら、
腫瘍を保ち大きくしていくと考えられている細胞です。

日本獣医生命科学大学の研究では、
犬の乳がんにあるがん幹細胞でmTORという仕組みが
強く働いていることが示されました。
mTORは、
細胞が増えたり活動したりするのを調整する重要な経路です。

mTOR阻害剤を使った実験では、
がん幹細胞がつくる細胞のかたまりの数や大きさが減り、
増える力が弱まることが確認されました。
さらに、マウスを使った研究でも腫瘍を抑える効果が示され、
乳腺腫瘍の新しい治療につながる可能性があると考えられています。

まとめと今後の期待

現在、イヌの乳腺腫瘍では手術が治療の中心であり、
手術以外の治療法はまだ限られています。
その一方で、がん幹細胞やmTORに注目した研究が進んでおり、
今後の新しい治療の選択肢になる可能性があります。
これから研究がさらに進むことで、
再発を防いだり、
よりよい経過につながったりすることが期待されています。


執筆者:朝岡紀行(獣医師)
神奈川県茅ケ崎市のアンジェス動物病院院長。
犬猫のホームドクターとして、
統合医療や高齢動物医療に深く携わる傍ら、
「犬猫の一次診療動物病院院長×馬も診る総合獣医師」としての
ビジョンを掲げ、現在は馬の臨床分野における
知見とネットワークを拡大中。
数年後の「小動物から馬までを網羅する総合獣医療体制」
~Anges Horse Wellness Care Service~
の確立に向け、日々の診療と研究を重ねています。

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