2026年1月08日

認知機能不全における環境エンリッチメント
認知機能不全症候群(いわゆる痴呆症)は、程度の差こそありますが、高齢犬や高齢猫でとても罹患率が高い疾患です。
犬の場合は、「夜鳴き」や「徘徊」に飼い主が悩むケースが多くあります。14歳以上の犬の41%が有病しているとされています。猫ではそのような問題は少ないと思われがちですが、11~14歳の猫の28%が、15歳以上になると50%が、認知機能不全症候群に関連した問題行動を示すと考えられています💡
薬物療法・栄養療法によるアプローチ
薬物療法による治療もありますが、漢方薬やサプリメントも治療に用いることができます。栄養療法では、EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸、ビタミンEやCなどの抗酸化成分が含まれたものが使用頻度の高いサプリメントとなります。
最近では、中鎖トリグリセリド(MCT)を活用した認知機能改善についての研究が盛んに行われています。上記栄養素の給与により、睡眠サイクルを含めた認知機能徴候の改善が認められています。
「環境エンリッチメント」という考え方
薬物療法・栄養療法と併せて取り入れた方が良いのが、「環境エンリッチメント」です。環境エンリッチメントとは、飼育動物の福祉と健康を改善するために、動物の本能的な行動を引き出せるような飼育環境を整える取り組みのことです。
近年では、動物園や水族館で応用されていますが、家庭にいるペット(伴侶動物)にも当てはまります。例えば、以下のような取り組みが考えられます。
- 知育トイ(コング)などのおもちゃ
- 嗅覚を活用した遊び(探索など)
- 体に負担とならない範囲の運動(軽い散歩など)
- ストレスを避けるために、急激な環境の変化(引っ越し・模様替えなど)をさせない
- 歩行がし易くなるような滑り防止マットの活用
家庭で整理すべき4つのケア項目
改めてケアする項目を整理すると、以下のようになります。
1)ケガやトラブルを防ぐ生活環境
滑りにくい素材のカーペットを敷いたり、柔らかい素材で壁を保護するなど。
2)食事の介護
食器が滑らないような工夫や、食べる姿勢が取りづらくなったら食器台などを設置するなど。
3)排泄の介護
普段の居場所にトイレを隣接させる、居場所の全面にトイレシーツを敷き詰める、おむつを着用させるなど。
4)床ずれの予防と対処
床ずれ(褥瘡)しにくい低反発素材などの寝床、骨が突出している箇所にクッションを当てたり、サポーターを巻くなど。
動物が本来持つ、「運動をしたい」「獲物を探したい」「遊びたい」といった欲求を満たす環境作りは、認知機能不全症候群に対する治療成績を向上させることが知られています。薬物療法や栄養療法だけではなく、環境エンリッチメントも治療に組み入れたいものです。
~毎日を人とペットのWell-beingな生活に~、Wellbe Laboでした❣