2026年8月04日

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。
犬・猫の一次診療で培ってきた総合的な視点を基盤に、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアの分野にも活動を広げています。
小動物から馬までを視野に入れる“総合獣医師”として、
人と馬のより良い関係づくりにつながる獣医療とケアの可能性を探究しています。
Anges Horse Wellness Care Service
Healing Through Horses ~馬を通して、人が自分らしく羽ばたく~
猫伝染性腹膜炎(FIP)は、
猫コロナウイルスが関係して起こる病気です。
以前は、FIPと診断されると
治療が難しい病気と考えられてきました。
しかし近年は、
FIPに対して効果が期待できる抗ウイルス薬が使われるようになり、
症状が改善する猫も増えています。
一方で、診断や治療には注意すべき点も多く、
飼い主さんが不安や迷いを感じやすい病気でもあります。
FIP診断はなぜ難しいの?
FIPは、ひとつの検査だけで
「間違いなくFIPです」と言い切ることが難しい病気です。
血液検査、画像検査、胸水や腹水の検査など、
いくつかの検査結果を組み合わせて判断します。
そのため、獣医師は
猫の症状、年齢、生活環境、検査結果を総合的に見ながら、
FIPの可能性がどのくらい高いのかを考えていきます。
治療を始める前に確認したいこと
FIPの治療に使われる薬の中には、
動物用医薬品として正式に承認されていないものもあります(2026年6月現在)。
そのため、治療を始める前には、
診断の根拠や治療の見通しをしっかり確認することが大切です。
「本当にFIPの可能性が高いのか」
「どの検査結果からそう判断しているのか」
「治療でどのような改善が期待できるのか」を、
遠慮せず獣医師に確認しましょう。
費用の負担も大きな問題
FIP治療を考えるとき、
飼い主さんにとって大きな不安のひとつが費用です。
抗ウイルス薬は一定期間続けて使うことが多く、
猫の体重や症状の重さ、使う薬、通院回数、入院の有無によって
総額が大きく変わります。
また、薬代だけでなく、
診断のための検査費用、治療中の血液検査、画像検査、
再診料なども必要になることがあります。
治療を始める前に、
検査や通院を含めたおおよその費用を確認しておくと安心です。
費用について話すことに、遠慮する必要はありません。
治療を続けられるかどうかは、
猫にとっても飼い主さんにとっても大切な問題です。
無理のない治療計画にするためにも、
費用の見通しや支払いのタイミングについて、
最初に相談しておきましょう。
猫コロナウイルスとFIPの関係
猫コロナウイルスに感染しても、
すべての猫がFIPになるわけではありません。
多くの猫は症状が出ないか、
軽い下痢などで済むことがあります。
ただし、まれに体の中でウイルスの性質が変わり、
強い炎症を起こすことでFIPを発症すると考えられています。
つまり、猫コロナウイルスに感染したからといって、
すぐにFIPになるというわけではありません。
診断ではどんなことを調べるの?
FIPが疑われるときは、まず元気や食欲、
発熱、体重の変化、呼吸の様子、お腹のふくらみなどを確認します。
若い猫や多頭飼育の猫では、FIPが疑われやすい場合もあります。
そのうえで、血液検査、レントゲンや超音波検査、
胸水や腹水の検査などを行います。
必要に応じて、
ウイルスの遺伝子を調べる検査を組み合わせることもあります。
検査が多く感じられるかもしれませんが、
FIPに似た症状を示す別の病気もあるため、
できるだけ正確に判断するために必要な確認です。
検査結果は「総合的に見る」ことが大切
FIPの診断では、ひとつの数値だけを見て判断するのではなく、
いくつもの情報を合わせて考えます。
たとえば、血液検査で炎症を示す結果が出ても、
それだけでFIPと決まるわけではありません。
反対に、検査結果の一部がはっきりしない場合でも、
症状や画像検査、体液検査の結果を合わせることで、
FIPの可能性が高いと判断されることもあります。
気になる点があれば、
「この検査で何がわかるのか」
「結果をどう解釈しているのか」を聞いてみましょう。
不安なときこそ、情報を整理して相談しましょう
FIPは、以前より治療の可能性が広がってきた病気です。
しかし、診断が難しく、治療費も高額になることがあるため、
飼い主さんにとって大きな決断が必要になることがあります。
大切なのは、診断の根拠、治療の目的、期待できる効果、
必要な検査、費用の見通しを一つずつ確認することです。
わからないことや不安なことを質問するのは、
決して迷惑なことではありません。
猫にとっても飼い主さんにとっても納得できる選択をするために、
獣医師と相談しながら、
現実的で続けやすい治療方針を考えていきましょう。

執筆者:朝岡紀行(獣医師)
・アンジェス動物病院 院長
・Anges Horse Wellness Care Service 主宰
犬・猫のホームドクターとしての一次診療に加え、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアにも取り組んでいます。
乗馬クラブや牧場における健康管理、飼養管理やケア体制への助言、馬の臨床獣医師との連携など、
現場の課題に寄り添いながら、新しいウェルネスケアの形を育んでいます。
私が目指しているのは、
「犬猫の一次診療動物病院院長 × 馬も診る総合獣医師」として、
犬・猫に加え、馬の健康を支えることを通じて、
人と動物がより健やかに共生できる社会づくりに貢献することです。
犬や猫、馬に関わる皆さまと知見を共有し、
新しい価値を共に創っていけることを楽しみにしています。
Anges Horse Wellness Care Service は、
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をコンセプトに、人と馬のウェルネスを育むことを目指す取り組みです。
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