犬の避妊手術、腹腔鏡と開腹は何が違う?―飼い主さんのための手術方法の基礎知識|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

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犬の避妊手術、腹腔鏡と開腹は何が違う?―飼い主さんのための手術方法の基礎知識

犬の避妊手術、腹腔鏡と開腹は何が違う?―飼い主さんのための手術方法の基礎知識|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

2026年9月01日

犬の避妊手術、腹腔鏡と開腹は何が違う?―飼い主さんのための手術方法の基礎知識

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。

犬・猫の一次診療で培ってきた総合的な視点を基盤に、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアの分野にも活動を広げています。
小動物から馬までを視野に入れる“総合獣医師”として、
人と馬のより良い関係づくりにつながる獣医療とケアの可能性を探究しています。

Anges Horse Wellness Care Service
Healing Through Horses ~馬を通して、人が自分らしく羽ばたく~


愛犬の避妊手術について調べると、
「腹腔鏡手術」という言葉を目にすることがあると思います。
傷が小さい手術として紹介されることもありますが、どの手術方法にも特徴があり、
すべての犬やすべての病院に当てはまるものではありません。

今回紹介する獣医学研究では、犬の卵巣摘出術について、
腹腔鏡手術と開腹手術を同じ麻酔・痛み止めの条件で比べ、
体のストレス反応や呼吸への影響を調べています。
少し専門的な研究ですが、飼い主さんにとって大切なメッセージが含まれています。

このブログは、腹腔鏡手術をおすすめするためではなく、
避妊手術の方法による違いを知っていただくための情報提供です。
実際の手術方法は、愛犬の状態や病院の設備、獣医師の判断によって異なります。

まず、腹腔鏡手術とは?

腹腔鏡手術は、お腹に小さな穴を数か所あけ、
そこからカメラと細い器具を入れて行う手術です。
一般的な開腹手術ではお腹を切開して臓器を直接確認しますが、
腹腔鏡手術ではモニターに映るお腹の中の映像を見ながら操作します。

腹腔鏡による避妊手術は、
傷が小さい、術後の痛みが少ない、回復が早い傾向がある
と説明されることがあります。
一方で、専用機器や手術チームの経験が必要で、
どの施設でも実施できるものではありません。
また、費用や麻酔管理の面も含めて検討が必要です。

この研究でわかったこと

1. 研究では、腹腔鏡手術で術後早期のストレス反応が小さい傾向が示されました

研究では、手術後の「コルチゾール」という
ストレスに関わるホルモンを測定しました。
その結果、腹腔鏡手術を受けた犬では、開腹手術を受けた犬よりも
術後早期のコルチゾール上昇がかなり抑えられていました。

この結果から、研究条件の中では、
腹腔鏡手術の方が術後早期の体への急なストレスが少なかった
可能性があります。
ただし、これは特定の条件で行われた研究結果であり、
すべての犬やすべての手術で同じ結果になるとは限りません。

2. 腹腔鏡手術にも「負担がゼロ」ではない

腹腔鏡手術では、お腹の中を見やすくするために
二酸化炭素のガスを入れて、お腹をふくらませます。
これを「気腹」といいます。

この研究では、腹腔鏡手術でも
術後に酸化ストレスと呼ばれる体内の負荷が見られました。
難しく聞こえますが、簡単に言うと、
手術中の体の変化によって細胞に負担がかかる可能性がある、
ということです。

そのため、「腹腔鏡=完全に負担がない手術」ではありません。
低侵襲である一方、麻酔中の呼吸や循環をしっかり見守る必要があります。

3. 麻酔中の呼吸管理がとても大切

研究では、腹腔鏡手術の後半に、
呼気中の二酸化炭素濃度が高くなる傾向が確認されました。
これは、お腹に入れた二酸化炭素が体内に吸収されることや、
ふくらんだお腹が横隔膜を押し上げて
呼吸に影響することが関係していると考えられます。

飼い主さんが覚えておきたいのは、
腹腔鏡手術では「傷の大きさ」だけでなく、
「麻酔中のモニタリング体制」が重要だという点です。

腹腔鏡手術について一般にいわれる特徴

傷が小さい
小さな切開で行えるため、傷が目立ちにくいとされます。
痛みが少ない可能性:
手術操作の違いにより、術後の不快感が軽くなる場合があります。
回復が早い場合がある:
元気や食欲の戻りが早いと報告されることがあります。
ストレス反応が小さい可能性:
研究では、術後早期のストレスホルモン上昇が開腹手術より小さく抑えられていました。

一方で、知っておきたい注意点

対応できる病院が限られています:
専用の設備と、腹腔鏡手術に慣れた獣医師・スタッフが必要です。
費用が高くなることがあります:
機器や技術が必要なため、開腹手術より費用が高くなる場合があります。
麻酔管理が重要です:
お腹に二酸化炭素を入れるため、呼吸や循環への影響を丁寧に見守る必要があります。
すべての犬に向くとは限りません:
体格、持病、過去の手術歴、病気の状態によっては開腹手術が適している場合もあります。

手術前に聞いておきたい質問

・うちの子にとって、どの手術方法が安全性や負担の面で適していますか?
・卵巣だけを取る手術ですか、それとも卵巣と子宮を取る手術ですか?
・手術方法によって、費用・入院期間・術後ケアにはどのような違いがありますか?
・手術中はどのような麻酔モニターを使いますか?
・術後に注意すべき症状は何ですか?
・散歩、シャンプー、普段の運動はいつから再開できますか?

手術後に家でできるケア

手術方法にかかわらず、術後の回復には
自宅での過ごし方が大きく関わります。
退院時に病院から受けた指示を最優先にしながら、
次の点を意識しましょう。

・数日は安静を優先し、走る・跳ぶ・階段を上り下りする動きを控える。
・傷口をなめないよう、エリザベスカラーや術後服を指示どおり使う。
・食欲、元気、排尿・排便、嘔吐の有無を毎日確認する。
・傷口の赤み、腫れ、出血、膿、においが強くなる場合は早めに病院へ連絡する。
・散歩やシャンプーの再開時期は、必ず担当獣医師に確認する。

腹腔鏡手術は「傷の大きさ」だけで選ぶものではない

今回の研究は、犬の避妊手術において、
腹腔鏡手術と開腹手術では体への影響に違いが出る可能性を示しています。
腹腔鏡手術には傷の小ささなどの特徴がありますが、
それだけで手術方法を決めるものではありません。

一方で、腹腔鏡手術には
専用機器や経験、二酸化炭素を使うことによる呼吸への影響など、
専門的な管理が必要な面もあります。
また、開腹手術も長く行われてきた標準的な方法であり、
犬の状態や病院の体制によって適切な選択となることがあります。

大切なのは、手術方法の名前だけで判断するのではなく、
愛犬の年齢、体格、健康状態、持病の有無、麻酔リスク、
術後の生活環境などを総合的に考えることです。

当院では、飼い主さんに手術の目的、方法、麻酔、術後ケアについて
できるだけわかりやすくご説明し、
その子にとって安全で無理の少ない選択を一緒に考えていきます。


執筆者:朝岡紀行(獣医師)
・アンジェス動物病院 院長
・Anges Horse Wellness Care Service 主宰

犬・猫のホームドクターとしての一次診療に加え、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアにも取り組んでいます。
乗馬クラブや牧場における健康管理、飼養管理やケア体制への助言、馬の臨床獣医師との連携など、
現場の課題に寄り添いながら、新しいウェルネスケアの形を育んでいます。
私が目指しているのは、
犬猫の一次診療動物病院院長 × 馬も診る総合獣医師」として、
犬・猫に加え、馬の健康を支えることを通じて、
人と動物がより健やかに共生できる社会づくりに貢献することです。
犬や猫、馬に関わる皆さまと知見を共有し、
新しい価値を共に創っていけることを楽しみにしています。
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をコンセプトに、人と馬のウェルネスを育むことを目指す取り組みです。

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