コロナと地球の健康〜パンデミックが問いかける、人と動物と環境の境界線〜|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

〒253-0023神奈川県茅ヶ崎市美住町1-32

0467-58-1002

WEB問診 予約・問い合わせフォーム
(初診・再診)
外観

コロナと地球の健康〜パンデミックが問いかける、人と動物と環境の境界線〜

コロナと地球の健康〜パンデミックが問いかける、人と動物と環境の境界線〜|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

2026年3月27日

コロナと地球の健康〜パンデミックが問いかける、人と動物と環境の境界線〜

最終更新 : 2026年3月 (2020年記事を再編)

この記事は2020年の自粛期間中に執筆されたものです。
当時の状況を振り返りつつ、現在の視点で大切なポイントを再編しました。


大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。


 新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの社会を根底から揺さぶりました。
しかし、その大きな痛みの中で、地球環境にはある「変化」が起きています。
「グリーン・リカバリー」という言葉と共に、私たちが選ぶべき未来について考えます。

「地球がきれいになった」という光と影

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンや活動制限により、
世界各地で大気汚染が改善し、
川の水が透明度を取り戻したというニュースを耳にした方も多いでしょう。
二酸化炭素(CO₂)の排出量も一時的に減少し、皮肉なことに、
人間が足を止めることで地球が呼吸を始めたかのような現象が見られました。

しかし、その一方で深刻な「負の側面」が私たちの足元で急増しています。
感染防止に欠かせないプラスチック製品の廃棄問題です。

特筆すべきは、私たちの日常に定着した「使い捨てマスク」です。
不織布マスクの多くは、実は「紙」ではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルといった
「プラスチック」から作られています。
道端に捨てられたマスクは、風に吹かれて川へ、そして海へと流れ込みます。
これらは分解されることなく、マイクロプラスチックとして半永久的に海中を漂い、
海洋生物の命を脅かし続けることになるのです。

感染症の源流にある「森林破壊」という真実

なぜ、これほどまでに新しい感染症(新興感染症)が次々と現れるのでしょうか。
その背景には、長年にわたる過剰な「森林破壊」と「野生動物への介入」があります。

人間が原生的な自然環境を切り開き、森の奥深くへと入り込むことで、
それまで静かに共生していた野生動物、家畜、
そして人間との境界線が消失しました。
本来出会うはずのなかった種同士が接触することで、ウイルスが種を超えて飛び火し、
パンデミックの火種となるのです。

近年の生物多様性の急速な減少は、
特定の病原体を媒介する宿主動物のバランスを歪ませ、
結果として人獣共通感染症(ズーノーシス)が発生しやすい土壌を作ってしまいました。
森を壊すことは、ウイルスというパンドラの箱を開けることに他なりません。

日本が抱える「エキゾチック・ペット」の闇

野生動物との歪んだ関係は、森林破壊だけではありません。
日本における「エキゾチック・ペット(アニマル)」の需要も、
感染症リスクを高める大きな要因となっています。

カワウソ、トカゲ、サルといった野生動物が、
ペットとして飼育するために密輸される事件が後を絶ちません。
違法取引される動物たちは適切な検疫を受けておらず、
未知の病原体を持ち込むリスクを常にはらんでいます。

2020年に施行された改正動物愛護管理法により、
特定の危険動物の愛玩目的での飼育は禁止されましたが、
密輸を防ぐ抜本的な仕組みや、野生動物の適切な飼育管理基準については、
依然として課題が山積しています。
「可愛いから」という理由だけで野生の命を家庭に持ち込むことの危うさを、
私たちはもっと深く認識すべきです。

新しい時代の合言葉「グリーン・リカバリー」

コロナ禍によって傷ついた経済と生活を、どのように立て直していくのか。
今、世界が注目しているキーワードが「グリーン・リカバリー(緑の復興)」です。

これは、単に景気を元に戻すのではなく、脱炭素社会への移行や生物多様性の保全など、
地球環境の再生を経済成長のエンジンにしようという戦略です。
「パリ協定」や「SDGs(持続可能な開発目標)」と歩調を合わせ、
環境負荷を最小限に抑えながら、
より強靭で持続可能な社会を再構築することを目指しています。

最後に

獣医師として、日々多くの動物たちの命と向き合っています。
しかし、診察室にいる目の前の一頭の健康を守ることと、
その背後にある地球全体の健康を守ることは、決して無関係ではありません。

人の健康、動物の健康、そして環境の健全性は、すべてが密接に繋がっている。
この「ワンヘルス」という視点は、
これからの時代を私たちが健やかに生きていくための、大切な道しるべになります。

コロナショックは、これまでの「当たり前」を立ち止まらせました。
しかし、それは私たちが新しい時代に向けて、
より良い方向へ自分たちをアップデートしていくための好機でもあります。
私自身も含め、私たち一人ひとりが日々の行動を少しずつ見直し、積極的に変化していくこと。
その積み重ねが、動物と人が共により良く暮らせる新しい世界を形作っていくのだと信じています。


執筆者:朝岡紀行(獣医師)
神奈川県茅ケ崎市のアンジェス動物病院院長。
犬猫のホームドクターとして、
統合医療や高齢動物医療に深く携わる傍ら、
「犬猫の一次診療動物病院院長×馬も診る総合獣医師」としての
ビジョンを掲げ、現在は馬の臨床分野における
知見とネットワークを拡大中。
数年後の「小動物から馬までを網羅する総合獣医療体制」の
確立に向け、日々の診療と研究を重ねています。

院長挨拶はコチラから
当院の診療案内はコチラから
ご予約はコチラから


TOP