2026年7月14日

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。
犬猫の一次診療とともに、獣医療の可能性を広げるため、現在は馬の臨床研究にも携わっています。
「かゆみ止めを使っているのに、なかなか良くならない」
「夜中も体をかいていて眠れていないみたい」
そんな愛犬の様子を見ると、飼い主さんはとても心配になりますよね。
犬のかゆみには、アレルギーや皮膚病だけでなく、
換毛期、発情、睡眠不足、日々のお手入れなど、
暮らしの中の要因が関わっていることもあります。
今回は、愛犬のかゆみを見極めるために
ご家庭で確認したいポイントと、
動物病院で相談するときに役立つ視点をご紹介します。
まずは「どのくらいかゆいのか」を見てみましょう
また、かゆみは日中よりも夜、
特に寝る時間に強く出ることがあります。
愛犬が夜中に何度も起きて体をかく、
飼い主さんもその音で目が覚めるという場合は、
犬だけでなくご家族の生活の質にも影響します。
犬によって、かゆみの感じ方には差があります。
少しの刺激でも強く気にする子もいれば、
皮膚に赤みがあってもあまりかかない子もいます。
そのため、「どのくらいかゆいのか」は、
皮膚の見た目だけでなく、普段の行動から判断することが大切です。
動物病院では、犬は緊張して一時的にかゆみを忘れてしまうことがあります。
それでも診察室でずっと体をかいている場合は、
かゆみがかなり強いサインと考えられます。
まずは「夜、ぐっすり眠れているか」を
ひとつの目安にしてみましょう。
特に注意したいのが、目の周りのかゆみです。
目の周りを長くこすったり、まぶたが厚くなったりすると、
まぶたが内側に入り込むように変化し、
場合によっては外科的な処置が必要になることもあります。
かゆみ止めの薬にはいくつかの選択肢があります。
夜眠れないほどかゆい、
目の周りを強くこする、
皮膚が厚くなってきたといった場合は、
早めに獣医師へ相談し、その子に合った治療を選ぶことが大切です。
「薬が効かない」と感じる前に見直したいこと
犬には年に2回ほど、毛が生え変わる「換毛期」があります。
最近は室内で過ごす犬が多く、
昔ほどはっきりした換毛が見られないこともありますが、
この時期にかゆみが強くなる子もいます。
換毛期にかゆみが出やすくなる理由は、大きく2つ考えられます。
ひとつは、毛が抜けることで毛穴まわりの環境が不安定になり、
皮膚が乾燥したり、細菌が増えやすくなったりすること。
もうひとつは、抜け毛を取ろうとして
一生懸命ブラッシングしすぎることで、
皮膚に刺激を与えてしまうことです。
換毛期のかゆみは、薬が効いていないように見えることも
換毛は一時的なものです。そのため、
換毛期だけかゆみが増えている場合は、すぐにかゆみ止めを変更するよりも、
まずはスキンケアやブラッシングの方法を見直すことが大切です。
もちろん、赤みや湿疹、脱毛が強い場合は
自己判断せず、動物病院で相談しましょう。
ブラッシングには、やわらかめの獣毛ブラシがおすすめです。
一般的には豚毛のブラシがよく使われます。
換毛期は約1か月ほど続きますが、
強くこすらなくても毛は自然に抜けていきます。
頭から足先まで、
毛の表面をやさしくなでるようにブラッシングしてあげましょう。
発情期にかゆみが強くなることもあります
避妊手術をしていない女の子では、
発情期にかゆみのコントロールが難しくなることがあります。
犬で詳しい仕組みがすべてわかっているわけではありませんが、
ホルモンの変化が皮膚の状態に影響する可能性があります。
発情のたびにかゆみが悪化する場合は、
薬を変えるだけではうまく管理できないことがあります。
今後の治療方針や避妊手術のタイミングについて、
かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
見落としやすい「睡眠」と皮膚の関係
睡眠は、皮膚の健康にも関係しています。
人の研究では、睡眠不足になると皮膚のバリア機能が低下したり、
炎症に関わる体の働きが乱れたりすることが報告されています。
犬でも、強いかゆみで眠れない状態が続くと、体への負担が大きくなります。
かゆみを「皮膚だけの問題」と考えず、
眠れているか、落ち着いて過ごせているかも
一緒に見てあげることが大切です。
愛犬のかゆみは、日常の様子が大切なヒントになります
かゆみが長引くと、
「薬が合っていないのかな」と不安になるかもしれません。
しかし、換毛期、発情、ブラッシングの刺激、睡眠不足など、
日常生活の中にかゆみを強めるきっかけが隠れていることもあります。
いつ、どのくらいかいているのか、
夜は眠れているのか、
目の周りをこすっていないか
などをメモしておくと、診察のときにも役立ちます。
気になる変化がある場合は、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
