猫の腎臓病、今わかっていること|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

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猫の腎臓病、今わかっていること

猫の腎臓病、今わかっていること|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

2026年8月23日

猫の腎臓病、今わかっていること

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。

犬・猫の一次診療で培ってきた総合的な視点を基盤に、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアの分野にも活動を広げています。
小動物から馬までを視野に入れる“総合獣医師”として、
人と馬のより良い関係づくりにつながる獣医療とケアの可能性を探究しています。

Anges Horse Wellness Care Service
Healing Through Horses ~馬を通して、人が自分らしく羽ばたく~


猫と暮らしている方なら、一度は耳にしたことがある病気――慢性腎臓病(CKD)
「年齢だから仕方ない」
「進行を遅らせることしかできない」
これまでそう考えられてきた病気について、
近年、新しい研究の進展が報告されています。

先般行われた獣医師向け学術セミナーでは、
猫の腎臓病治療に関わるAIM研究の最新情報が紹介されました。
今回は、現時点で分かっている内容を、
できるだけ分かりやすくにお伝えします。

猫の腎臓病とこれまでの治療

猫の慢性腎臓病は、高齢の猫で特に多く見られる病気です。
年齢とともに腎臓の働きが少しずつ低下し、
気づいたときには進行していることも少なくありません。

腎臓は、一度大きく傷んでしまうと元に戻りにくい臓器です。
そのため、
・療法食
・点滴
・血圧管理
・リン吸着剤
などを組み合わせながら、腎臓への負担を減らし、
できるだけ進行をゆるやかにすることが中心でした。

近年は、こうした従来のケアに加えて、
腎臓を守る体のしくみに注目した研究も進んでいます。
「腎臓の中で起きる不要物の蓄積を、体のしくみでうまく処理できないのでは?」
このような視点から、
AIMというタンパク質をめぐる新しい治療研究が進められています。

注目されるAIMというしくみ

私たちの体の中では、毎日たくさんの“ゴミ”が発生しています。
例えば、
・傷んだ細胞
・壊れたタンパク質
・炎症の原因になる老廃物
などです。

本来、「AIM」というタンパク質は、
こうしたゴミに目印をつけて
掃除屋さん(マクロファージ)に片づけてもらう役割
を担っています。
さらに、腎臓の細胞を酸化ストレスから守る
働きもあることが分かってきました。

つまりAIMは、
体内の不要物の処理や腎臓の保護に関わる
可能性が示されているタンパク質です。

猫ではAIMが働きにくい?

驚くことに、猫のAIMには特徴があります。

通常なら必要な時に働くAIMですが、
猫では別のタンパク質(IgM)と非常に強く結合してしまい、
必要な場面でも十分に働くことができない
のです。

その結合力は、人やマウスの約1,000倍ともいわれています。
ライオンやトラ、チーターなどネコ科動物にも似た特徴があるとされ、
猫で慢性腎臓病が多い理由の一つとして研究されています。

治験で見えてきたこと

今回紹介された治験では、
腎臓病がかなり進行した猫(ステージ3B)が対象となりました。
その結果は、今後の治療選択肢を考えるうえで注目されています。
6か月後の生存率が高く保たれたことが報告されています。

通常、この段階の猫では、
・診断後約半年で半数が亡くなる
・1年後には約8割が亡くなる
とされる報告もあります。

しかしAIM治療を受けた猫では、
今回の治験では、6か月時点で良好な生存率が報告されました。
という結果が得られました。

さらに、
・クレアチニン値の改善
・腎機能マーカーの悪化抑制
・尿毒症の進行予防
などが報告されています。

ただし、対象となった猫の条件や投与方法、長期的な安全性については、
今後さらに情報の蓄積が必要です。
従来の「進行を遅らせる」治療に加え、
腎臓の負担を減らす新しい選択肢となる可能性があります。

一方で、現時点では「治る」「必ず効く」と言える段階ではなく、
承認後の適応や使い方を確認しながら判断する必要があります。

これから期待される使い方

この治療は、腎臓病が進行してからだけでなく、
早い段階で腎臓への負担を減らす治療
として役立つ可能性についても研究が進められています。

研究者たちは、
「もっと早い段階で使えば、さらに大きな効果が得られるのではないか」
といった視点で、今後の検証が期待されています。

将来的には、
・健康診断で早期発見
・必要に応じた予防的治療
・腎臓病と長く付き合う新しい時代
につながる可能性があります。

今、飼い主さんできること

この治療薬は現在、承認申請中であり、
まだ一般診療では使用できません。
最新情報は、かかりつけの動物病院で確認することが大切です。

だからこそ、今できることがあります。
✔ 定期健診を受ける
猫は症状を隠すのが得意です。
7歳頃からは年1回、
10歳を過ぎたら半年に1回の
血液検査・尿検査がおすすめです。

✔ 飲水量や尿量の変化に気づく
・水を飲む量が増えた
・トイレの回数が増えた
・体重が減ってきた
・毛づやが悪くなった
こうした変化は、腎臓病のサインかもしれません。

✔ 「年だから仕方ない」と決めつけない
獣医療は日々進歩しており、新しい情報が少しずつ増えています。
ただし、治療の選択は猫の状態によって異なります。
自己判断せず、検査結果をもとに獣医師と相談することが大切です。

今わかっていること

猫の慢性腎臓病は、これまで
「治らない病気」として向き合われてきました。
しかし今回のAIM研究は、
“猫の腎臓病に対して、新しい治療選択肢が増えるかもしれない”
という可能性を示すものです。

まだ承認前の治療であり、
実際にどの猫に使えるのか、費用や投与方法がどうなるのかは
今後の情報を待つ必要があります。

愛猫と少しでも長く、穏やかな時間を過ごすために
まずは定期健診を受け、
「今の腎臓の状態を知ること」から始めましょう。

※本記事は2026年6月開催の獣医師向け学術セミナー「ネコCKDにおけるAIMの臨床的インパクトとAIM創薬」
の内容を、一般の飼い主さん向けに分かりやすく要約したものです。
承認前治療に関する情報を含むため、実際の適応や使用方法は今後変更される可能性があります。


執筆者:朝岡紀行(獣医師)
・アンジェス動物病院 院長
・Anges Horse Wellness Care Service 主宰

犬・猫のホームドクターとしての一次診療に加え、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアにも取り組んでいます。
乗馬クラブや牧場における健康管理、飼養管理やケア体制への助言、馬の臨床獣医師との連携など、
現場の課題に寄り添いながら、新しいウェルネスケアの形を育んでいます。
私が目指しているのは、
犬猫の一次診療動物病院院長 × 馬も診る総合獣医師」として、
犬・猫に加え、馬の健康を支えることを通じて、
人と動物がより健やかに共生できる社会づくりに貢献することです。
犬や猫、馬に関わる皆さまと知見を共有し、
新しい価値を共に創っていけることを楽しみにしています。
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をコンセプトに、人と馬のウェルネスを育むことを目指す取り組みです。

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