ウマはなぜ口で呼吸できないのか?走る体に隠された驚きのしくみ|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

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ウマはなぜ口で呼吸できないのか?走る体に隠された驚きのしくみ

ウマはなぜ口で呼吸できないのか?走る体に隠された驚きのしくみ|茅ヶ崎市のアンジェス動物病院|土日祝診療可で安心のペットケア

2026年10月02日

ウマはなぜ口で呼吸できないのか?走る体に隠された驚きのしくみ

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。

犬・猫の一次診療で培ってきた総合的な視点を基盤に、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアの分野にも活動を広げています。
小動物から馬までを視野に入れる“総合獣医師”として、
人と馬のより良い関係づくりにつながる獣医療とケアの可能性を探究しています。

Anges Horse Wellness Care Service
Healing Through Horses ~馬を通して、人が自分らしく羽ばたく~


「息を切らして口で呼吸する」
私たちにとっては当たり前のことですが、
ウマにはそれができません。

ウマは生涯、鼻だけで呼吸する動物です。
しかも、全力で走るときでさえ、取り込む空気はすべて鼻から。

なぜそのような体のつくりになっているのでしょうか。
そこには、ウマが草を食べ、速く長く走るために進化してきた、
実に合理的なしくみが隠されています。

鼻と口の通路が分かれているウマ

ヒトは鼻からでも口からでも呼吸できます。
鼻の奥と口の奥がのどの手前でつながっているため、
必要に応じて口呼吸に切り替えられるからです。

一方、ウマでは鼻の通路と口の通路が、
軟口蓋(なんこうがい)という“ふた”のような構造によって
しっかり分けられています。
そのため、口から吸った空気を気管へ送ることができません。

つまりウマにとって、鼻は単なるにおいを感じる器官ではなく、
呼吸のための唯一の入り口なのです。

誤嚥を防ぐための巧みな構造

動物の体では、
空気の通り道である気道と、食べ物の通り道である食道が、
のどの付近で一度交差します。
食べ物が気管に入れば誤嚥につながるため、
飲み込む瞬間には気管にふたをする必要があります。
その役割を担うのが喉頭蓋(こうとうがい)です。

ウマでは、この喉頭蓋が軟口蓋のすぐ後ろに位置し、
気道と食べ物の通路を常に明確に分けています。
この構造によって、
ウマは草を食べながらでも比較的安全に呼吸できますが、
その代わり口呼吸はできない、
という特徴を持つことになりました。

走ると呼吸もリズムに乗る

ウマの呼吸がさらに面白いのは、速く走るときです。
安静時にはヒトと同じように、
呼吸筋や横隔膜の動きで胸郭を広げたり縮めたりして呼吸します。
しかし駈足(かけあし)になると、
胃腸や肝臓などの腹部臓器が大きな役割を果たします。

これらの臓器は体内で前後に動き、
まるでピストンのように横隔膜を押したり引いたりします。
四肢で地面を蹴って体が前へ進むと、
内臓は後方へ動き、胸腔が広がって空気が肺へ吸い込まれます。
次に前肢が着地して体にブレーキがかかると、
内臓は慣性によって前方へ移動し、肺から空気が押し出されます。
その結果、ウマは駈足中に一歩ごとに一呼吸することになります。

この「内臓ピストン」ともいえる仕組みは、
呼吸筋だけに頼らず大量の酸素を取り込むための効率的な方法です。
鼻だけで呼吸するという制約は、一見すると不便に思えるかもしれません。
しかしウマの体全体を見ると、
食べること、誤嚥を防ぐこと、そして速く長く走ることが、
見事に結びついています。

ウマの呼吸を知ると、走りがもっと面白くなる

競馬場や牧場で目にするウマの美しい走り。
その背後では、鼻、のど、横隔膜、そして内臓までが連動し、
全身で呼吸を支えています。

鼻だけで息をするという特徴は、
ウマにとって制約ではなく、
草食動物として生き、走るために磨かれてきたしくみの一部です。
そう考えると、一歩ごとの呼吸音や力強いフォームも、
これまでとは少し違って見えてくるかもしれません。


執筆者:朝岡紀行(獣医師)
・アンジェス動物病院 院長
・Anges Horse Wellness Care Service 主宰

犬・猫のホームドクターとしての一次診療に加え、
現在は馬の健康管理・ウェルネスケアにも取り組んでいます。
乗馬クラブや牧場における健康管理、飼養管理やケア体制への助言、馬の臨床獣医師との連携など、
現場の課題に寄り添いながら、新しいウェルネスケアの形を育んでいます。
私が目指しているのは、
「犬猫の一次診療動物病院院長 × 馬も診る総合獣医師」として、
犬・猫に加え、馬の健康を支えることを通じて、
人と動物がより健やかに共生できる社会づくりに貢献することです。
犬や猫、馬に関わる皆さまと知見を共有し、
新しい価値を共に創っていけることを楽しみにしています。
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をコンセプトに、人と馬のウェルネスを育むことを目指す取り組みです。

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