2026年6月02日

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。
犬猫の一次診療とともに、獣医療の可能性を広げるため、現在は馬の臨床研究にも携わっています。
「療法食」と聞くと、
病気に良さそう
体にやさしそう
というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、療法食は
誰にでも、いつでも安心して与えられるフードではありません。
知っておきたい「総合栄養食」と「療法食」の違い
ペットフードは利用目的によって分類されており、
日常的によく使われるものに総合栄養食と療法食があります。
一見似ているように思えますが、役割は大きく異なります。
総合栄養食は、
成長段階に応じて、健康なペットの健康維持を目的に設計されたフードです。
毎日の主食として与えることを前提に、
必要な栄養素がバランスよく含まれています。
一方、療法食は、
腎臓病や消化器疾患など、
特定の病気や健康状態にあるペットを栄養面からサポートすることを目的に、
栄養成分の量や比率が調整されたフードです。
そのため、獣医師の指導のもとで使用されることが前提となっています。
どちらも「主食として使えるフード」ではありますが、
・健康な状態を支えるのが総合栄養食、
・治療や管理を支えるのが療法食、
という点が大きな違いです。
療法食は「治療の一部」
療法食は、特定の病気や健康状態にあるペットを
栄養面からサポートする目的で設計されたフードです。
そのため、健康なペットに与え続けると、
栄養の過不足が起こる可能性もあります!
療法食は「体に良い特別食」ではなく、
獣医療の一環として使う食事であることを理解しておきましょう。
市販されていても「自己判断」は危険
最近では、動物病院以外でも
「療法食」と表示されたフードを目にする機会が増えました。
療法食は医薬品ではないため、
量販店やインターネットで購入すること自体に問題はありません。
しかし、病名や症状に合わない療法食を選んでしまうと、
かえって体調を崩す原因になることもあります。
「療法食だから安心」と自己判断するのは危険です。
「療法食」と書いてあれば安心、ではない
療法食の栄養設計は、
メーカーごとの調査研究や考え方に基づいています。
そのため、同じ病気向けでも、
栄養成分の量やバランスは必ずしも一定ではありません。
表示だけを見て内容を判断することは難しく、
「療法食」という言葉だけで安心するのは注意が必要です。
療法食を選ぶときの3つのポイント
動物病院以外で療法食を購入する場合は、次の点を特に意識しましょう。
✔必ず動物病院で診察を受け、獣医師が推奨する療法食を選ぶこと
✔動物病院と連携している購入先を利用すること
✔定期的に再診し、療法食の種類や与え方を見直すこと
療法食は「一度選んだら終わり」ではありません。
ペットの状態に合わせて、定期的なチェックと見直しがとても大切です。
まとめ
総合栄養食と療法食は、どちらも大切な役割を持つペットフードですが、
目的と使い方はまったく異なります。
療法食は、正しく使えば心強い味方ですが、
使い方を誤るとペットの体に負担をかけてしまうこともあります。
「自己判断せず、獣医師と一緒に選ぶ」
この姿勢こそが、ペットの健康を守る一番の近道です。
