2026年4月07日

大切な家族の『声なきサイン』を見逃さないために。
神奈川県茅ケ崎市、アンジェス動物病院 院長 獣医師の朝岡紀行です。
白内障でいちばん大切なポイントは、
“治療が必要になる病気である”
ということです。
年齢のせいだからと自然に任せてしまうと、
あとから目に大きなトラブルを起こすことがあります。
適切な時期に、きちんと治療を考えることがとても重要です。
白内障と“加齢による変化”は違います
目の中のレンズ(水晶体)が少し白っぽくなることがありますが、
すべてが白内障というわけではありません。
• 白内障:病気として水晶体が濁る状態
• 核硬化症:年齢とともに起こる生理的な変化
診察では、目薬で瞳を広げて、水晶体の中央に「ぼんやりした濁り」があるかを確認します。
核硬化症の場合は、眼底検査も問題なく行えます。
白内障って、どんな病気?
白内障とは、
目の中のレンズ(水晶体)が濁って、光がうまく目の奥に届かなくなる病気です。
水晶体は、
• 水分:約65%
• タンパク質:約35%
でできています。
このタンパク質のバランスが崩れると、光が散ってしまい「濁り」が生じます。
放っておくと怖い「ぶどう膜炎」
白内障で特に注意が必要なのが、
水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)という合併症です。
白内障が進行すると、水晶体の成分が目の中に漏れ出し、
それを「異物」と判断した体が強い炎症反応を起こします。
実は、
白内障が進行すると、ほぼ100%の確率でLIUが起こる
と考えられています。
こんな症状は要注意です
以下のような様子が見られたら、
ぶどう膜炎が起きている可能性があります。
• 目が白く濁ってきた
• ショボショボしている
• 充血している
• まぶたをピクピクさせる
「目が白くなって、ショボついて充血している」
この組み合わせは特に注意が必要です!
炎症が続くと、失明の危険も
ぶどう膜炎が長く続くと、
房水流出障害から「緑内障」へ進行します。
長期化するほど合併症リスクは高くなり、
痛みや失明の原因にもなるため、
早期発見・早期治療が白内障の予後を大きく左右します。
白内障になりやすい犬種
特に以下の犬種では、白内障が多く見られます。
• トイ・プードル
• 柴犬
• ミニチュア・シュナウザー
• アメリカン・コッカー・スパニエル
これらの犬種では、早めのチェックが大切です。
内科治療と外科治療の違い
内科治療(点眼・内服)
目的は、
• 白内障の進行を遅らせる
• 炎症や合併症を防ぐ
視力を元に戻す治療ではありません。
炎症がある場合は、状態に応じて消炎薬を使います。
外科治療(手術)
超音波で濁った水晶体を取り除き、
人工レンズを入れる手術が一般的です。
• 視力回復
• ぶどう膜炎の予防
が大きな目的です。
術後1年程度の視力維持率は
85~95%と報告されています。
治療を始める「ベストなタイミング」
白内障の治療時期は、
• 濁りの程度
• 炎症のリスク
• 視力回復の可能性
を総合的に見て判断します。
初期の段階で専門施設へ紹介するほど、
手術後の経過が良いことが多いと言われています。
白内障治療は「目を守る治療」
白内障は、
• 見えなくなる
• 炎症が起きる
• 緑内障や網膜剥離につながる
といったリスクがあります。
治療は「見えるようにする」だけでなく、
目そのものを守るために必要な治療です。
「年だから仕方ない」と思わず、
ぜひ早めにご相談ください。
